水熱合成法および固相法で作製したBaTiO_3における圧電·強誘電特性と結晶構造の合成·焼成条件依存

摘要

材料の開発が精力的に行われている．本報では，PZTの代替材料の1つとしてBaTiO_3（BT）に着目した．しかし，アクチュエータへの応用を考えたときBTのd_(33)は小さく，その向上のためにこれまで焼結条件の検討が行われてきた．Takahashiらは，マイクロ波焼結により粒径が2.1μm，ドメインサイズが50nmでd_(33)が350pC·N~(-1)になると報告している．また，Karaki らは，2段階焼結によりd_(33)が460pC·N~(-1)にもなり，この要因は1μm前後のサブ粒子とナノドメインであると報告している．このように焼結条件の検討は，圧電体の特性向上のための有効な指針であると考えられる．本研究ではBTを固相法·水熱合成法で合成し，各々について通常焼結と2段階焼結を施し，合成·焼結条件が電気特性に及ぼす影響について検討した．また，従来，これらの条件が結晶構造に与える影響に関して中性子回折測定による詳細な検討が行われていないことから，各合成法の通常焼結·2段階焼結前後の試料について飛行時間型粉末中性子回折測定を行い，Rietveld法による結晶構造解析を行った．