オリゴペプチドゲル化剤で作製した抗菌メディカルゲルの機 能変調研究

摘要

低分子ゲル化剤は分子間の非共有結合により自己組織 化し、3 次元ネットワークを形成することで様々な溶 媒をゲル化することができる。近年、低分子ゲル化剤 は、この「自己組織化」能力を活用して高分子にはな い特異な機能を発現することがわかってきた。特に、 アミノ酸のみで構成されるペプチド型低分子ゲル化剤 は生体適合性が高く、新たなバイオマテリアルとして 医薬品分野での応用が期待されている。例えば、低分 子ゲル化剤は両親媒性であり水中で自己会合体を形成 するが、ここに疎水性の高い薬剤をCo-assembly する ことで薬剤を分散化したヒドロゲルを作成可能と考え られる(Scheme 1）。我々は先行研究において、N 末端 をアセチル化したAc-FFFGK(Fig.1A)という配列のペ ンタペプチドが比較的低濃度でヒドロゲルを形成する ことを見出した1。一方で、医療分野において、創傷 の感染症予防や局所的な微生物感染症の治療には抗菌 ゲルが使用されることがある。しかし、抗菌剤分子は 疎水性が高いことが多く、ゲルの作製には分散剤の添 加が必須であった。そこで、本研究では、このオリゴ ペプチドを用いて抗菌性のある薬剤を可溶化·ゲル化 し、抗菌ゲルの作製を試みた。そして、ゲル化剤が抗 菌ゲルの特性に与える影響を調査した。