硫酸化糖鎖の合成と抗ウイルス性

摘要

硫酸化糖鎖は抗血栓性、抗ウイルス性など特異な生理活性を示すことが知られている。抗ウイルス性に関しては、1958年にGefberらは海藻から抽出した硫酸化多糖類に抗インフルエンザウイルス作用があると報告した［1い985年、山本、中島らは海藻から抽出した硫酸化糖鎖は抗HIV作用を持っことを明らかにし［2］、我々も山本教授、中島教授との共同研究により無水糖類の開環重合法によって得られた合成硫酸化糖鎖も高い抗HIV性を示すことを見出した［3］。当研究室では無水糖モノマーの開環重合法によって得られる構造明確な立体規則性糖鎖や天然糖鎖を用いて糖鎖構造と抗ウイルス性などの生理活性との関係について研究し、硫酸化糖鎖には抗HIV作用の他にもA型インフルエンザウイルスやデング熱ウイルスに対しても効果があることを見出した。本講演では合成や天然糖鎖を硫酸化した抗ウイルス性硫酸化糖鎖の合成、インフルエンザウイルス除去フィルターの作成、抗ウイルス性作用メカニズムの解明研究など最近の結果を中心に講演したい。