母体腹壁生体電位計測による胎児心電位·心拍数測定

摘要

本研究では安価かつ小型の装置を用い、また特別な知識や経験を持たずに胎児心拍数を測定する方法として、母体腹壁に貼付した複数の電極から生体電位を計測し、これらから独立成分分析法（ICA：Independent Component Analysis）を利用して、胎児心電を分離し、心拍数を計測する方法を試みた。一般にICAの前処理として、主成分分析（PCA：Principle Component Analysis）による正規直交化が行われることが多い。しかし胎児心電位は非常に微少な信号であることから、各チャンネルに独立に混入する雑音が無視できないような状況を考慮し、本研究では各チャンネルに独立に混入する雑音を考慮した観測モデルを採用した［1］。つまりICAの前処理として因子分析（FA：Factor Analysis）を用いたの正規直交化を行った。その結果、通常のPCAによる前処理を行った場合に比べ、胎児心電位の分離精度が定量的かつ定性的に向上した。