走査型位相差顕微鏡による組織細胞の無染色観察

摘要

生体組織細胞の位相構造観察は，組織構造を評価可能な有力な手法のひとつである。位相差顕微鏡は透明かつ低コントラストな位相構造を可視化できる画像化技術として，医療分野でも積極的に利用されている。位相差構造の可視化法として，近年では，定量位相顕微鏡や構造化照明顕微鏡，デジタルホログラフィ顕微鏡などの手法が精力的に研究開発されている。我々は，新しい位相構造観察法として，輪帯照明と画像処理とを併用した走査型位相差顕微鏡を開発してきた。この顕微鏡は，位相コントラスト像と振幅コントラスト像の分離観察や回転不変型収差に対する無収差観察，多重散乱などの非線形結像光の低減など，生体組織観察では非常に有効である。本発表では，輪帯照明を用いた走査型位相差顕微鏡における生体組織の位相断層観察について報告する。