積層型3Dタッチパネルによる近接位置測定

摘要

現在,スマートフォンやタブレット端末等のインターフェースとしてタッチパネルが利用されている.タッチパネルは,直接画面を触って直感的な操作が可能なことから優れたインターフェースの1つと言える.タッチパネルは,抵抗方式や静電容量方式,赤外線方式等があり,用途により使い分けられている.これらの多くのタッチパネルが指とタッチパネルの接触位置のみを検出するものである.また,近接にて対象の位置を検出する手法も提案されているが,接触状態の検出は考慮されていない.本研究では,ディスプレイ上の三次元空間(近接及び接触)で操作可能なタッチパネルの開発を目的としている.例えば,本タッチパネルを立体的な3D画像が表示可能な3Dディスプレイに搭載した場合,画面表面から飛び出ている画像は近接で操作でき,奥行きのある画像では画面を押し込み操作が可能となり,3D画像に合わせた操作が可能となる.また,通常の2D画像においても指を画面に近づければ画像が拡大し,ボタンを押しやすくする動作が可能となる(図1).更に,指の押圧により画面の操作を行うことによりクリック感を実現することができる.このように,三次元空間で操作可能なタッチパネル実現することにより操作性,エンターテイメント性が向上すると考える.我々は,これまでに近接及び接触測定が可能な積層型3Dタッチパネルを提案し,ディスプレイ上で対象(指)の近接及び接触測定が可能であることを示した.本手法は,センサ上部の変化を取得するために平面型静電容量センサを,対象との接触状態を取得するために平行平板型静電容量センサを積層することにより,近接及び接触測定を行うものである.これまで基礎研究として,近接測定では電極間の静電容量の変化により電極間に対象が接近したことを検出していたが,詳細な近接位置の検出は行っていない.本稿では,提案した積層型3Dタッチパネルによる対象の近接位置の検出を行った.対象が近づいた場合,その電極間のみならずその周囲の電極間の静電容量が変化する.その変化を用いることで近接における対象の詳細なX-Y座標の算出を行った.更に,静電容量の変化により対象までの距離を算出したので報告する.