振動式八木·宇田アンテナを駆動するMEMSアクチュエータの設計

摘要

現在日本は65歳以上の高齢者が総人口の21%以上という超高齢化社会である。高齢者の移動手段として公共交通機関が行き届いていない地域においては自家用車がその重要な役割を果たしているが、高齢者は判断速度が遅く、体力もないため、ヒューマンエラーによる事故に巻き込まれやすいという問題が顕然化している。このため、自動車産業に安全安心なシステムの実現が強く求められている。車両衝突事故防止のための車載用レーダはこのようなシステムを実現するための一つの重要な技術であり、近年ミリ波帯のアンテナが注目されている。ミリ波は、100m程度の距離において、雨や霧等の環境の影響をあまり受けないということで車間距離を感知するレーダとして非常に有用である。また、ミリ波は非常に大きな情報量を伝送することができるため、比較的短距離の無線アクセス通信や画像伝送システム、簡易無線等にも利用することができる。一方、ミリ波は、電波の直進性が高いために、広範囲の検知を行うのに電波を走査する必要がある。しかし、従来の機械式走査型アンテナは構造が大型かつ複雑で、走査速度が遅いという問題をもっていた。例えば車載レーダに適用した場合、走査角度が5度程度と狭い角度の走査に制限されていた。