リチウム電池の現状と今後の課題

摘要

市販されている汎用電池は15種類程度ある。これらの電池が市場で共存している理由は電池特性が異なりオールマイティな電池がないためである。電池は使用する機器があった初めて商品価値を持つ工業製品である。機器から電池に要求される特性、性能は様々である。電圧、電流、価格、エネルギー密度、入手の利便性、使用環境温度、充電が必要なのかどうか、保存特性等、様々である。リチウムイオン電池は成長市場の工業製品であるがオールマイティで優れた電池だから売れている訳ではない。今後必要とされる機器によって開発が要求される電池は変化する。正極、負極および電解液は電池の基本特性を決定する最も重要な構成要素である。しかし、実用電池開発の100年以上の歴史を振り返ると、実験室タイプの電池で性能がでても工業製品として実用化される電池材料、電池系は殆どない。電池ユーザーが安心して使用できる実用品（信頼性、つまり性能と安全性が必要）を量産するた鋸こは、電池製造技術、工学的知見等、教科書を一歩はみ出た工夫が必要である。