C_(60) 誘導体-光捕集部位二元系を用いることによる光線力学活性の向上

摘要

現在、多種類の抗菌薬に対し、耐性を示す多剤耐性菌が次々と出現しており、抗生物質に依存しない新たな感染症の治療法が求められている。そこで、従来に代わる新たな治療法として着目されているのが光線力学療法 (Photodynamic therapy:PDT) である。当研究室では、先行研究において生体由来の脂質分子からなるリポソーム膜内にカチオン性フラーレン誘導体 (N,N-ジメチルフレロピロリジン) と光捕集分子 (1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドジカルボシアニン、DiD) を共存させることで二元系を構築し、ヒト子宮頸がh由来の HeLa 細胞に対して高活性な新規光増感剤 (下図) の開発に成功した。そこで、今回は、これまでがh細胞に対して評価してきた活性部位-光捕集部位二元系新規光増感剤を光抗菌剤として応用することを試みた。