ヘキサフルオロシクロペンテンで架橋されたP,O-キレート型配位子の開発と遷移金属錯体への利用

摘要

強力な電子求引性をもつヘキサフルオロシクロペンテン骨格を持つホスフィン配位子は、遷移金属錯体のルイス酸性を向上させることからユニークな触媒活性を示す。その反面、こうした電子不足ホスフィンの配位能の低さのために、配位子が金属から外れやすく、錯体触媒が分解しやすいという欠点があった。そこで今回我々は、触媒寿命の向上を狙い、ヘキサフルオロシクロペンテン構造を持つホスフィン配位子にカルボキシ基等の配位部位を導入した、電子不足型のP,O-キレート配位子を合成し遷移金属錯体への応用を行った。