ホスホロアミダイト化合物を用いた緊縮応答分子ppGpp の効率的合成

摘要

緊縮応答はバクテリアがアミノ酸欠乏で飢餓状態というストレス環境に晒された時、転写、翻訳、複製反応やGTP の生合成といった無駄なエネルギー消費を回避し、生命危機状態を打開する反応として知られている。緊縮応答を引き起こすシグナル分子ppGppはその後、多数の遺伝子の活性化及び抑制を介したストレス応答、転写と共役したDNA修復等の様々なメカニズムに関与することが明らかになっている。ppGpp は現在酵素合成による供給が一般的だが、化学合成では様々な高極性副生成物が生成することに加えて、イオン交換クロマトグラフィー等の煩雑な精製が不可避となり、大量供給の面で未だ課題がある。本研究ではホスホロアミダイト化合物を使用し、TBS-pGp を鍵中間体とする効率的なppGpp 合成を行うものである。鍵中間体は再沈殿精製で合成可能である。