生体組織接着を実現する疎水化微粒子の設計と創傷被覆材への応用

摘要

生体組織は、表面が濡れたゲル状の構造体であるため、材料を生体組織へ接着させることは非常に困難である。特に、消化管や血管などの湿潤環境下にある臓器に対しては、組織液や血液による接着剤の希薄化が課題となる。また、生体組織用の接着剤には、接着性はもちろhのこと、安全性や生体適合性、生分解性、使用性、柔軟性など様々な材料特性が求められ、その材料設計は大きく制限を受ける。現在、生体組織接着に向けた様々な材料設計が行われている。化学結合性の接着においては、アルデヒド化多糖ゃカテコールなどが用いられており、高い接着性が期待できるが、水環境下での接着や生体適合性に課題がある。一方で、ナノ階層構造やナノ粒子を利用した構造接着は、水環境下での接着が可能であるが、接着力が弱いことや用いる材料が非分解性であることが課題となっている。