哺乳動物シトクロムP450 モノシゲナーゼによる キラルポリ塩化ビフェニルの代謝とその構造基盤

摘要

ポリ塩化ビフェニル（PCB）は、化学的安定性、絶縁性から、工業製品の熱媒体等に使用されてきた が、発がh作用や発達障害などの毒性が明らかとなり、現在では製造と使用が禁止されている。しかし ながらPCBの残留性は高く、現在でも環境中から検出されており、ヒトや野生動物への蓄積、毒性が報 告されている。なかでも、オルト位に3つ以上の塩素を持つ同族種はキラルPCBと呼ばれ、塩素の立体 障害により鏡像異性体（アトロプ異性体）が存在する。各異性体は1:1の比（ラセミ）で製造されるが、 立体構造の違いにより生体内での蓄積や毒性、代謝の挙動が異なる。そのため、ラセミ体として評価し た毒性よりも異性体自身の毒性を低く見積もってしまう可能性がある。