培養神経回路網における成体神経新生モデル構築とパターン分離能力評価

摘要

海馬における成体神経新生は，パターン分離?完成や記憶の生成?維持?消失などの機能に関わることが知られている．神経新生の効果が海馬の構造に依存するかを明らかにすることは，細胞レベルと細胞集団レベルでの現象を切り分けて考えるうえで重要である．しかし，従来の実験動物を用いた手法では，既存の神経回路に組み込まれる新生神経細胞の効果を細胞集団レベルで評価できなかった．我々はこの問題に着手したが，新生細胞が増加した影響を検討するに留まり，既存神経回路に新たに組み込まれた新生細胞の影響を検討するには至らなかった．そこで本研究では，in vitro において，神経新生の神経回路網レベルでの効果の検討を目的とした．最初のステップとして，培養神経回路網でのパターン分離のプロトコルを確認した