薄膜π型マイクロ TEG モジュールの最適設計における熱電材料膜厚の影響

摘要

近年，医療?介護を対象とした IoT ともいえる Internet of Humans (IoH) が注目を集めている．ウェアラブルデバイス(WD)はこのような IoH における重要なマン?マシーン?インターフェイスとして期待されている．WD の最も消費電力の大きな機能はデータ通信であるが，無線 LAN やスマートモバイルデバイスなどの通信機器が存在する状況を想定すれば，WD には短距離通信のための数 mW 程度以下の電力供給があればよい．したがって，ヒトの体温を用いた熱電発電を WD に応用できる可能性がある．最近では熱電発電を用いた WD も市販されている．しかし，その性能は熱電発電に用いている?TEG の構造が必ずしも WD に最適化されたものではないことに起因して十分ではなく，搭載されている?TEGの出力を一度昇圧してバッテリーに充電してから用いる必要があることから，その機能は従来型のバッテリー式に比べるとかなり制限されている．我々は WD の電源に応用可能な薄膜熱電材料を用いた薄膜?TEG の最適設計を検討している．これまでの発表では，薄膜?TEG に用いる熱電材料の膜厚を固定して，構造最適化を行った場合の結果について報告してきた．今回は，熱電材料の膜厚が薄膜?TEG の構造最適化に与える影響を報告する．