有機焦電型赤外線センサの光学設計に向けた中赤外線領域におけるP(VDF-TrFE)薄膜の光学定数算出

摘要

焦電型赤外線センサは、CO_2ガス分析では3?4μm、人体感知では5?15μmと検出目的に応じた波長フィルタリングを行う必要があり、従来、受光部以外に別途光学フィルタが必要となる。本研究では、低屈折率の有機焦電層と高屈折率の金属電極の積層による光学フィルタ機能を併せ持つ赤外線センサ素子の創出を目指している。積層構造の光学設計にあたり中赤外線領域における各層の光学定数（n:屈折率, k:消衰係数）の波長依存性が必要となる。そこで、焦電層に用いるフッ化ビニリデン?三フッ化エチレンランダム共重合体（P(VDF-TrFE)）と電極に用いるNiCrの中赤外線領域における光学定数を決定し、センサ素子構造での赤外線吸収率のシミュレーションを行った。実験：両面研磨シリコン基板上にスピンコート法によりP(VDF-TrFE) 1?mを、真空蒸着法よりNiCr 10、20、100 nmをそれぞれ成膜した。その後、赤外分光エリプソメーター（IR-VASE，ジェー?エー?ウーラム?ジャパン）を用いて、各種薄膜の波長2?20 μmにおける屈折率nと消衰係数kを決定した。