有機無機ハイブリッドペロブスカイト太陽電池における超薄型正孔輸送層としてのP3ポリマーの評価

摘要

近年、有機無機ハイブリットペロブスカイト(OHP)が新たな半導体材料として注目を集めている。OHPは約1.4 eVのバンドギャップを持ち、可視光を強く吸収することや、高い移動度を持つことから、理想的な太陽電池用活性材料である。一方、ペロブスカイト太陽電池を構成するもう一つの重要要素である正孔輸送層(HTL)には、キャリア移動度が高いだけでなく、ペロブスカイト層への大気の影響を抑制する役割も期待されている。このような特徴を持つ材料として P3 (poly[4-(5-(4,8-bis(5-(6-((2-hexyldecyl)oxy)naphthalen-2-yl)thiophen-2-yl)benzo[1,2-b:4,5-b′]dithiophen-2-yl)-4-octylthiophen-2-yl)-5,6-difluoro-7-(4-octylthiophen-2-yl)benzo[c][1,2,5]thiadi-azole])（Fig. 1）が見いだされており、これをHTLとして用いることによって高い変換効率が得られている。そこで本研究では、OHP薄膜上に、これまでの報告よりもさらに薄いP3薄膜(約7 nm)を製膜し、パッシベーション膜としての特性を評価したので報告する。