エアロゾルライダー比計測のための高スぺクトル分解能ライダーの製作

摘要

大気中に浮遊する微小な粒子であるエアロゾルは、太陽放射の散乱、吸収および雲の凝結核としての働きを通じて気候に影響を与えるため、地球の放射収支における大きな不確定要因である。また、エアロゾルが人体に及ぼす影響も指摘されているが、その効果はエアロゾルの性質に大きく依存する。エアロゾル観測の有効な手法の一つにライダー(Lidar)を用いた観測が挙げられる。ライダーにより得られた信号を解析する際、エアロゾルのライダー比S_1 （=消散係数/後方散乱係数）を仮定して解析を行う必要がある。海洋性のエアロゾルのS_1は約25sr、大陸性のものでは約50srという値を取ることが知られているが、実際の大気中では多様なエアロゾルが混在しているため、S_1は約10～100srという幅広い値をもつ。そのため、S_1は正しく仮定しなければ、その推定誤差に起因して解析結果にも無視できない誤差が生じる。