メチルトリエトキシシランを出発物質とする 透明エアロゲルの新規作製手法の検討

摘要

近年、有機置換基としてメチル基を有する3 官能アルコキシシランであるメチルトリメトキシ シラン（MTMS）を前駆体として、水を溶媒とするゾル－ゲル系において、固体の界面活性剤の共存下で、 機械的強度の向上したエアロゲルの作製が報告されている[1]が、水を溶媒とすることや、均一なゲル化のた めの重縮合触媒として尿素から生じるアンモニアを用いており、ゲル化挙動が緩慢であるなどの理由により、 より疎水的なアルコキシシランを前駆体とする系への拡張は難しいと考えられる。本研究では、液体の界面 活性剤であるポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル（EH-208）を溶媒とし、強塩基性の水酸化テト ラメチルアンモニウム（TMAOH）を重縮合触媒とした反応系において、MTMS と上記の手法では作製が困 難であるメチルトリエトキシシラン（MTES）を前駆体としてエアロゲルを合成する検討を行った。各合成パ ラメータがゲルの物性に及ぼす影響を詳細に調べ、透明かつ高強度のエアロゲルを様々なアルコキシシラン 前駆体から作製するための指針を確立することを目指した。