バナジウムで改質した SBA-15触媒によるイソブタンの 酸化脱水素反応

摘要

イソブテンはブチルゴムの生成に欠かせない物質で あり、工業的に重要な原料である。原油の輸入国である 我が国でのブテン類の供給源は、 ナフサの熱分解や減圧 軽油の接触分解から副生する C4留分の分離が主である 1) 。しかし、この場合イソブテンは主生成物の生産に左 右されるため、単独での増産が困難である。 本研究では上記の問題点を解決する代替合成プロセ スとしてイソブタンの酸化脱水素反応に着目した。 酸化 脱水素反応は高難度酸化に分類されており、 高反応率と イソブテンの高選択性取得の両立が難しく、 深度酸化に よるCOx生成の抑制が課題である。 本研究室では課題解決に向け、 メソポーラスシリカを 用いて触媒活性を検討してきた。 中でも、 MCM-41にバナ ジウムを修飾した触媒を使用した報告では、COx への深 度酸化によるイソブテン選択率の低下が見られ、 高活性 を得ることが出来なかった。 しかし、 MCM-41 と同じヘキ サゴナル構造を有するSBA-15を触媒として用いた結果、 高いイソブテン収率を安定的に得られることが分かっ た。そこで、本研究では SBA-15 を基軸とした研究を行 い、 バナジウム金属修飾を試みることで更なるイソブテ ン収率の向上を目的とする。