流路内コラーゲンゲル堆積法による チューブ状生体組織の作製

摘要

近年，細胞をチューブ状に配置することで血管など の 3 次元組織モデルを生体外において構築する試みが 注目されている。中でも，生体内の主要な細胞外基質 （ECM）成分であるコラーゲンを細胞の足場材料と して用い，血管組織を作製する手法が数多く報告され てきた[1, 2]。しかしながら，そのような手法の多く は，細胞を内包したコラーゲンゲルを円筒形の芯の周 囲に形成し，最終的に芯を除去することでチューブ状 の組織を作製するため，分岐などの任意の形状を有す る血管組織をワンステップで作製することは困難で あった。そこで本研究では，任意の形状を有する チューブ状コラーゲンゲルを簡便に作製する手法とし て，リン酸塩を包埋した微小な流路の内壁にゲルを堆 積させる新規手法を開発した。実験では，細胞を内包 したコラーゲンゲルを流路内に堆積させることで，多 層かつ中空状の構造を有し，また ECM 成分で構成さ れる血管様組織の作製を試みた。