熱水条件下における塩基性水溶液を用いたろ紙の加水分解に およぼす反応条件の影響

摘要

最も豊富に存在するバイオマスであるセルロースを 分解すると、単糖や二糖、セロオリゴ糖などの機能性 物質が得られる。しかし、セルロースは分子内·分子 間に多くの水素結合を有し、結晶性が高いため分解が 困難である。このことから、効率的にセルロースを機 能性物質へ変換する方法が必要とされている。 セルロースの分解は亜臨界水に酸を添加しておこな われているが1) 、過分解物が多く生成される場合が多い。 そこで、酸ではなく塩基を添加することで過分解物の 生成を抑制することができる2) 。しかし、塩基性の亜臨 界や超臨界水によるセルロースの分解についての研究 は、酸性の場合と比べて非常に少ないのが現状である。 本研究では、ろ紙を試料とし、熱水条件下の塩基性 水溶液を用いて加水分解をおこない、反応温度、添加 物種および添加物濃度が生成物収率、反応残渣の結晶 化度に与える影響を調査した。