ビスピラゾールピリジン誘導体を用いた集積型金属錯体の合成と磁気特性

摘要

高密度の磁気メモリーとしての応用が期待される単分子磁石(single-moleculemagnet; SMM)の研究において、2010 年の鉄二価の単核錯体のSMM の発見以来、一つの金属イオン中心のみからなるsingle-ion magnet (SIM)と呼ばれる磁性体が注目を集めている。SIM は金属クラスター型SMM に比べて分子デザインや配位環境のチューニングが容易であるという利点を持つ。配位子場の影響を受けやすい第一遷移金属の物性化学において配位環境は重要な役割を果たすと考えられる。