干渉色によって彩られる真珠の色彩変化の再現

摘要

真珠がもつ美しい色合いは、実体色とよばれる真珠を構成する物質そのものの色と干渉色とよばれる真珠の多層構造による構造色によるものである（Fig.1）。これまで、我々は真珠の品質向上を目的として、アコヤ貝の貝殻の光学特性を調べてきた。また、真珠養殖による実証実験を通して、従来の目視による選別より、スペクトル測定による評価が有効であり、より高品質な真珠の生産が可能であることを示してきた。しかしながら、真珠養殖の性質上、選別技術によってどのような真珠が創り出されるかを確認できるまでに 1 年～2 年の期間を要することが課題となっている。そこで、コンピューターグラフィックスライブラリーである OpenGLを用いて真珠を再現することを試みた。一般に、OpenGLでは、3D空間の物体を2次元の画像とするためにシェーダーとよばれる陰影などを表現できる描画処理プログラムがいくつか用意されている。しかしながら、真珠の干渉色を再現できるシェーダーは存在しないので、本研究では、真珠の干渉色を再現するために多層膜構造体の光学特性に基づいたシェーダーを作成した。