海氷データと衛星AIS で示される船位の比較：2012 年の北極海航路

摘要

北極海航路の利用は，東アジアとヨーロッパ間の航行における燃料消費量の節約及び航行時間の短縮によって運航についての経費削減，効率化及び安全に繋がる．近年のシェールオイル事業拡大の一因によって原油価格は低位水準であるため，以前よりも北極海航路の利用の魅力が高くないかもしれないが，確実な世界人口の増加を背景にして長期期間における原油価格の低位水準の可能性は困難であるので，今後も北極海航路の利用について研究は重要である．北極海航路の航行における近年の研究から嶋田及びShimada2)が構築した北極海航路の航海シミュレーションの結果より，北極海航路の開通の主な要因はロシア本土と島から成る海峡周辺の海氷分布であると示唆されるが，北極海における船舶航行の現状は不明である．そこで，人工衛星で収集された船舶情報を用いて北極海における船舶航行の現状を調べる．