液体架橋力モデルを導入した粒子法による水－土混相流解析

摘要

2011年東北地方太平洋沖地震の津波による防波堤を始めとする港湾構造物の被災や，平成29年7月九州北部豪雨に伴う土砂災害等，昨今発生している自然災害の多くは流体，地盤，構造物等が複雑に影響し合う現象であり，様々な力学的視点からの検討が必要になっている．本研究ではその中でも，主に雨水や地下水等の流体と地盤を構成する土粒子が影響し合い発生する斜面崩壊や地盤陥没等に代表される「固液混相流（水－土混相流）」を本研究の対象とする．本研究グループでは，流体解析にはSPH法(Smoothed Particle Hydrodynamics)，土粒子の挙動解析には離散要素法(DEM: Distinct Element Method)を採用し，両者の相互作用力によって連成解析を行うことで，固液混相流解析手法の開発を行ってきた．先行研究では防波堤マウンドの浸透·洗掘破壊解析を行い，実験との比較からその妥当性が確認されてきた．本研究では，先行研究で開発されてきたSPH-DEM連成解析手法に新たに含水に伴う見かけの粘着力の効果を導入することで，不飽和地盤に適応したDEMの開発を行い，地盤陥没現象の定性的な再現に注力した．また，先行研究での手法を用いて，砂山への孤立波衝突実験の再現解析を行い，解析手法の妥当性確認を実施する．また，解析手法におけるSPHとDEMの連成に重要となる抗力モデル，及び土塊表面のDEM粒子の取扱いに関して考察を行う．