スマートデバイスのタッチパネルを利用した生体ビット列の生成手法に関する一考察:日本語漢字署名とイニシャルの比較

摘要

近年，スマートフォンやタブレットPC などのスマー トデバイスの急速な普及により，利用者のプライバシー に関わる情報を扱う機会が多くなり，スマートデバイス 上での安全かつ便利なユーザ認証手段として，特殊なセ ンサを必要としないタッチパネルから取得可能な生体情 報に基づく生体認証方式が注目されている．一方，生体 認証では，ユーザの生体情報を格納したテンプレートを 安全に管理?運用するためのテンプレート保護技術が不 可欠であり，様々な手法が提案されている．テンプレー ト保護技術を用いた生体認証では，誤り訂正符号を用い て生体情報の誤差を許容する手法が主流となっており， この手法では生体情報を有限体上の値に変換したデータ （以下，生体ビット列）を生成する必要がある．本稿で は，生体情報としてスマートデバイスのタッチパネルか ら入力された二種類の異なる筆記情報(日本語漢字署名 とイニシャル) を対象とした生体ビット列の生成手法を 提案するとともに，生成した生体ビット列の精度を評価 した結果について報告する．