Mg/S比と自然時効時間が異なるAl-Mg-Si合金の二段時効挙動に及ぼすクラスタ形態の影響

摘要

Al-Mg-Si系合金は、自動車のボディパネル材として近年利用が増大している。自動車の焼付塗装時に生じるβ”相の析出により優れた時効硬化性（BH性）を示す。本合金を溶体化処理後に室温で保持するとBH性が低下することが多数報告されている。著者らは既報1）にて、Al-0．62Mg-0．93Si（mass％）合金において、自然時効時間が長くなると、170°Cでの焼付塗装相当熱処理において、一旦軟化してから硬化する挙動が現われ、それがクラスタの復元によることを3次元アトムプローブ（3DAP）を用いて明らかにした。さらに、170°Cで20分の熱処理によって減少するクラスタの種類については、クラスタ内のMg原子とSi原子の比率の影響が大きく、極端なSiリッチクラスタは、サイズが小さいものの、170°Cの熱処理において復元しにくいことを明らかにした。