アルミニウムの分極曲線に及ぼす分極履歴の影響

摘要

アルミニウムは中性の水環境では安定的な酸化皮膜を形成し耐食性に優れた金属材料の一つとして知られている。しかし環境中に塩化物イオンが存在するとその皮膜は弱体化あるいは破壊され，いわゆる局部腐食を起こすこともよく知られている．食孔内の環境はほぼ塩化アルミニウム水溶液で近似できるため，塩化アルミニウム水溶液中の電気化学的挙動を知ることはアルミニウムの局部腐食を理解する上で重要な検討項目の一つとなっている．アルミニウムのアノード分極曲線は，ステンレスやチタンのような複雑な挙執すなわち活性溶角材不活性溶解（不動態）等の挙動はせず，比較的単純な挙動を示すことに着目し，分極曲線の測定とその解析を試みてきた．しかし，カソード分極の程度により，アノードの分極履歴に変化が見られた．分極の程度によって分極曲線が変化した場合，分極曲線を基礎にした解析手法の信憩性が損なわれる危険性が生じる．本実験ではアルミニウムとその合金の分極曲線に及ぼすカソード部の大小が分極抵抗曲線のどこにどのように影響を及ぼすかを調べた．