担持Pt触媒を用いた5－ヒドロキシメチルフルフラールの水素化と環転位によるシクロペンタノール誘導体への転換

摘要

フルフラール類はバイオリファイナリープロセスの基幹物質として注目されており，例えば，フルフラール類からポリマー原料や燃料となる2，5－ビスヒドロキシメチルフラン（BHF），1，6－ヘキサンジオール，2，5－ジメチルフラン（DHF）などへ変換可能である．最近では，フルフラール類からシクロペンタノン（CPO），シクロペンタノール（CPL）誘導体の合成が報告されている．CPOやCPLは従来アジピン酸から生産されており，溶媒，香料，殺虫剤，ポリマー原料の中間体として利用されている．石油代替の観点から，バイオマス由来フルフラール類を原料としたCPO，CPL誘導体へ転換は有用となると期待できる．これまでに我々はAu／Nb2O5やPt／SiO2＋Tb2O5を用いて，5－ヒドロキシメチルフルフラール（HMF）から3－ヒドロキシメチルシクロペンタノン（HCPN）を80％以上の高収率で合成してきた．本反応には，金属による水素化と，担体のルイス酸による環転位，脱水が関与している．本研究ではランタノイド担持Pt触媒を用いることで，HMFから3－ヒドロキシメチルシクロペンタノール（HCPO）を高収率で合成した．