水酸アパタイト/コラーゲン複合体とポリエチレングリコールジアクリレートとの γ線照射による架橋

摘要

骨の無機主成分からなる水酸アパタイト（HAp）多孔体は、優れた生体適合性と高い機械的強度のため、 骨補填材として用いられている。しかし、生体内で吸収されず長期に残存することや、骨組織とは弾性率が 異なるといった課題が挙げられる。一方、HAp と骨の有機主成分であるコラーゲン（Col）からなる複合体が 着目されている。この複合体は、HAp 多孔体とは弾性や生体吸収性などの異なる特性を示すが、機械的強度 が低い。本研究では、複合体に放射線感受性のある添加物を混合し、γ 線照射による架橋で機械的強度を制 御することを目的とした。線維形成能が高く、人獣共通ウイルスのない魚類のうろこ由来 Col を用い、特に γ 線の単位時間当たりの線量である線量率を変化させることで、 線量率が機械的強度へ与える影響を調べた。