酸素アニーリングによる Mg_(28)Ge_(10)O_(48-δ_F_δ:Mn~(4+)蛍光体の内部量子効率の向上効果

摘要

4 価のマンガンイオン(Mn~(4+))を発光イオンとした蛍光体は，効率的な可視光吸収を持ち，赤色から深赤色領 域に鋭い蛍光を示すことから，現在，ディスプレイ用蛍光体として実用化されつつある。とりわけ，高い発 光効率を有するフッ化物材料が注目を浴びている。しかしその合成には，強毒性·強腐食性のフッ酸を用い るため，安全面や環境面から多くの懸念をはらhでおり，フッ酸フリー蛍光体の開発が待ち望まれている。 その代替材料の候補となりうるフッ酸フリー蛍光体の一つに Mg28Ge10O48-δFδ:Mn~(4+) (MGF)蛍光体がある。この 材料は，古くから 3.5MgO·GeO2-0.5MgF2:Mn~(4+)として知られ，格子中の八面体場に導入された Mn~(4+)は，近紫 外光を効率的に吸収し，660nm 付近に発光ピークを持つ高効率な赤色発光を示す。しかしながら，白色 LED の主流である青色光励起には，十分に対応できていないため，発光効率の改善が必要とされる。