リン酸鉄を出発原料としたマグへマイトナノ粒子の合成及び その形態が電池特性に与える影響

摘要

現在、リチウムイオン電池の正極には主要元素として Co, Ni, Mn, Fe を含hだリチウム金属酸化物 が用いられる。その中でも鉄系材料は資源的に豊富であり、低コスト、非毒性という利点を有する。マグへ マイト(γ-Fe2O3)は、鉄系材料の中でも大きな理論容量(200 mAh/g)を有し、実用化されている LiFePO4 の理論 容量(170 mAh/g)に優る。しかしながら、γ-Fe2O3は Li+の挿入によってスピネル相から岩塩相へと不可逆的な 相変化をするため、充放電を繰り返すことが難しい。近年、一次粒子をナノサイズ化することによって充放 電における相変化を抑制でき、充放電特性が改善することが報告されている 。γ-Fe2O3ナノ粒子を簡易に得 1) る方法として、リン酸鉄(FePO4·2H2O)をアルカリ処理する方法が報告されている 。 2)