Au@Cu2O コアシェル構造担持 TiO2 の作製と Cr(VI)の光触媒還元活性の評価

摘要

Cr(VI)、As(III)などの有害な金属、半金属イオンによる水質汚染は重要な環境問題の一つである。特に飲み 水や地下水の汚染は人々の健康に悪影響を及ぼすため、光触媒を用いて水中に存在するこれらのイオンをよ り毒性の低い可溶性種や堆積物に変換して取り除く試みが行われている[1]。 種の光触媒の中でも、TiO2は 強い酸化力と高い化学的安定性を持ち、無害であることから実用材料として用いられている。しかし TiO2は 強い酸化力に比較して還元力が十分でないという問題点がある。そこで本研究では酸化物光触媒の中で極め て強い還元力を持つ Cu2O に着目し、TiO2上に光電着反応で Au と Cu2O を逐次担持して Au@Cu2O コアシェ ル構造を有する複 化光触媒の作製を行い、紫外光及び可視光下での Cr(VI)還元活性の調査を行った。この ような構造では Cu2O が高分散に TiO2 上に担持されること、また導電体として Au を導入することにより TiO2–Cu2O 間の電子の移動[2]が促進されることから Cr(VI)の還元活性の向上が期待される。