Tb~(3+)とCe~(3+)を共賦活した液晶ディスプレイ用 Y4SiAlO8N 緑色蛍光体の合成及び発光特性

摘要

2020 年東京オリンピック開催に伴う8K テレビの普及が計画され、テレビの高性能化による優れたバック ライト技術が要求されている。YAG:Ce~(3+)黄色蛍光体を用いた白色LED がバックライトとして一般的である が、カラーフィルターによりカットされるスペクトル領域が広い点と色再現性が低い点が問題となっている。 そこで、青·緑·赤色領域にシャープなスペクトルを持つ白色LED を実現できれば、前述の問題点を改善で きる。中でも緑色領域にシャープなスペクトルを持つ蛍光体の報告は非常に少なく、テレビの高性能化には、 青色領域で励起可能な新規緑色蛍光体の開発が求められている。我々は化学的に安定、かつ大気圧下で合成 が可能なY4SiAlO8N に着目し、賦活剤としてTb~(3+)を用いた緑色蛍光体の合成を試みた。[1] 我々は以前、Si 分 を化学量論よりも過剰に加えることで比較的低温での目的相合成に成功した。[2] そこで、本研究においても Si 分を過剰にした条件にて合成を検討した。また、Tb~(3+)は近紫外－青色領域において4f－4f 禁制遷移のため 弱い励起ピークしか持たない。したがって、増感剤としてCe~(3+)をTb~(3+)とともに共ドープし、近紫外－青色領 域での励起におけるTb~(3+)の発光強度改善を図った。