MgO 添加による Zr2-xTix(WO4)(PO4)2および Zr2(W1-yMoyO4)(PO4)2の作製への影響

摘要

様々なデバイスの小型化が進行する現代社会において，精密機器の温度上昇に伴うマイクロオーダ ーの体積変化でさえも故障に繋がり得るため，高精度な位置および体積制御が可能な材料の需要は益々高ま っている．先行研究により，温度上昇に伴い体積が収縮する性質を有する負の熱膨張材料 Zr2(WO4)(PO4)2 へ Ti 4+または Mo6+をドープすることでその熱膨張挙動を制御してきた．しかし，その相対密度は 50%程度と小 さく材料として利用するには不十分であり，Mo6+をドープするには原料である MoO3 が焼結の段階で昇華す るため，化学量論比での作製が困難であった．本研究では，焼結助剤 MgO を用いることで高密度な熱膨張制 御材料の作製およびそれに伴う MoO3 の昇華の抑制を試みた．一般的に，セラミックスの焼結においては添 加物の存在により焼結性が変化する．MgO には相対密度を増加させることおよび低温·短時間焼結での作製 が期待できる．また，焼結後の MgO の存在状態および熱膨張挙動に及ぼす影響の調査を行った．