プロピレングリコール修飾シランを用いた合成による Lu2-xCa1+xMg2-xScxSi3O12:Ce3+ の合成

摘要

Y3Al5O12:Ce3+をはじめとするガーネット構造蛍光体は、熱耐性に優れ、効率が良いことから白色 LED への応用が期待されている。しかしガーネット構造蛍光体は Ce3+を賦活した際、緑色～黄色発光(520-550 nm) を示すものが多く、長波長を示す蛍光体の報告は数少ない。そこでガーネット構造の蛍光体で赤色発光を示 す Lu2CaMg2Si3O12:Ce3+と緑色発光を示す Ca3Sc2Si3O12:Ce3+を固溶させることで緑色～赤色発光を示す蛍光体 が期待される。Lu2-xCa1+xMg2-xScxSi3O12:Ce3+固溶体では構成元素が多く組成が複雑であるため、固相法合成で 合成した試料の相純度は高くない(1) 。 そこで、水に対して均一に分散可能なグリコール修飾シランを用いる合 成に興味がもたれる。グリコール修飾シランを利用するシリコン含有化合物の溶液合成法はいくつか報告さ れているが、その中でも近年新たに提案されたスラリー法は使用する有機物が少なく、焼成や粉砕回数が少 ないというメリットを有している(2) 。本研究では、スラリー法による Lu2-xCa1+xMg2-xScxSi3O12:Ce3+固溶体の合 成を検討し、結晶性や発光特性について固相法合成試料との比較を行った。また、さらなる均一性の向上の ためスラリー法の原料を硝酸塩に代えた硝酸塩スラリー法で合成を行い、ゲル化時間による結晶性や発光強 度への影響を調べた。