湿式ミリングで作製した硫酸水素塩 - ヘテロポリ酸複合体の燃料電池電解質膜への応用

摘要

現在、加湿器が不要で白金触媒の高い利用率が見込める等の理由から、100°C以上の中温領域において発電 可能な中温無加湿燃料電池（MTFC）が注目されている。MTFC は、バイオメタノールなどを燃料として水 素を生成するオンボード型燃料電池車へ適用が期待されている。これを実現するための電解質膜として高い 熱安定性、良好な機械的特性およびリン酸のドープによる優れた電気特性を有する Polybenzimidazole (PBI) 電解質膜が注目されている。当研究室では、高プロトン伝導性を有する硫酸水素セシウム (CHS) -ヘテロポ リ酸複合体をメカニカルミリングにより作製し、PBI 電解質膜へ添加することで膜の導電率と燃料電池特性 が向上することを報告している[1] 。また、有機溶媒を用いた湿式ミリングにより無機固体酸の粒径をナノサ イズ化し、これを PBI に添加することによってコンポジット電解質膜の均質性と発電特性が向上することを 報告している[2] 。そこで本研究では、セシウム塩より安価なカリウム塩を出発物質に用いて、湿式メカニカ ルミリングにより複合体を作製し、 得られた複合体と、これを添加したコンポジット電解質膜の特性評価し、 比較を行った。