圧電特性向上のための強磁場電気泳動法による <111>配向BaTiO3 セラミックスの作製とドメイン制御

摘要

チタン酸バリウム(BaTiO3, BT)セラミックスは、グレインの微細化や、配向付与などの技術により圧 電特性が向上することが知られている。我々はこれまでに強磁場電気泳動(HM-EPD)法により、微細なグレイ ンからなる<111>配向BT セラミックスの作製を行ってきた。BT 粒子を水素雰囲気下にて熱処理することで 得られる反磁性異方性の大きな六方晶BT 微粒子を、強磁場中で配向させ集積体を作製し、その後空気中で の焼結過程において相転移させることで<111>配向正方晶BT セラミックスを作製することができる。こうし て得られた<111>配向BT セラミックスは、100%に近い高い配向度を示すのにもかかわらず、圧電特性に顕著 な改善はみられなかった。これは六方晶に存在する酸素八面体を面共有した双晶欠陥が正方晶BT 中に残存 し、この双晶面が圧電特性を低下させたものと考えられている。そこで本研究では、原料粒子として六方晶 と正方晶の２相共存粒子を用いてHM-EPD 法によりBT 配向セラミックスを作製し、圧電特性を調査した。