水溶液反応による酸化物析出反応プロセスの解明と 電気化学材料への展開

摘要

常温下で水溶液を反応媒体としたセラミックス薄膜合成法として知られる液相析出法は、固液界面を反応 場とする結晶成長であり、以前から金属フッ化物錯体の溶液内平衡反応として知られてきた。しかしながら それぞれの反応機構については経験的に反応条件の最適化を行ってきたため、反応媒体として最も注視すべ き溶液中の溶存種の特定は十分ではなかった。我々は酸化物析出反応プロセス解明を電気化学測定·分光学· NMR法等、多くの分析手法を用いて反応解析を行ってきた。その結果、電気化学·溶液化学の分野において 固液界面上の水溶液内反応や溶存種の状態に関する様々知見を得ることができ、それを通して、ほぼすべて の遷移金属セラミックスの合成や形状·空間制御の方法を確立した。特に液相析出法による薄膜合成につい ては、その反応速度の精密制御によりナノオーダー空間基材とのコンポジット化、精密な空間制御を要する 電気化学材料への展開を図る等、多くの成果を上げることができた。本講演ではその一部を紹介する。