(86-0361)常陽炉MARICO-Ⅱ照射したバナジウム合金のスエリング挙動に及ぼす照射温度履歴効果

摘要

原子力材料の中性子照射下における損傷組織発達過程を明らかにすることは照射下挙動予測や劣化予測診断を行う上で重要である。従来の中性子照射場では炉起動停止時の照射温度変動があり、一定照射温度に対する損傷組織発達からの各種特性変化を理解する上で障害となる。このためJMTR などで温度制御照射リグを用いた一定温度制御下での中性子照射実験から照射損傷組織発達やその機械的特性への温度履歴効果について明らかにすることに成功してきた。しかしJMTR では損傷量0.1dpa 以下に限定され、1dpa 以上の重照射下における温度制御照射実験として常陽炉にてMARICO-II 照射リグを用いた照射実験を2006～7 年に実施された。MARICO-II 照射リグは2015年夏に常陽炉から回収·解体され、2018 年夏に東北大金研大洗センターにて照射後試験が可能となった。本報告はMARICO-II 照射にて通常照射および温度一定照射したバナジウム合金の損傷組織TEM観察を行いスエリング挙動における照射温度履歴効果について明らかにする。