貴金属·希土類元素フリーの排ガス触媒の開発

摘要

プラチナ(Pt)、ロジウム(Rh)、セリア(Ce)といった元素は、排ガス触媒の活性金属もしくは担持体として用いられている。しかし、これらの原子は、資源採掘場所が偏在して国際問題になり得ること、燃料電池車の実用化などで貴金属（特にＰｔ）の需要がひっ迫する恐れがあること、が指摘されている。これまで貴金属使用の最小化を目指した研究は多数行われているが（貴金属”レス”）、貴金属を全く使わない触媒（貴金属”フリー”）は非常に重要であるが、有望なものは見つかっていない。近年、脱合金化を利用することで、広範囲な目的に資するナノポーラス金属ができることがわかり、注目を浴びている。例えば、Au-Ag 固溶体合金を濃硝酸液中に入れるだけで、Ag 原子が選択的に溶出し、残った金(Au)原子がサブミクロン以下のスポンジ形状となり、10m~2/g 以上の表面積を有する多孔質構造体となる。ナノポーラスAuは室温でＣＯ酸化反応に活性であることが知られているが、反応中の粗大化によって劣化していくことが分かっている。そこで、表面に酸化物(Al_2O_3やTiO_2)を均一にコーティングすることで、粗大化を防ぐ試みもされている。しかし、いずれにせよAuが使われており高価である。そこで本研究では、ナノポーラス金属を基軸とした「耐熱性で貴金属?希土類元素完全フリー」の排ガス触媒に取り組hだ。