月の裏側の地下空洞を利用した月面低周波望遠鏡の検討

摘要

天文学の発展は、観測周波数領域の新規開拓や、 空間分解能と感度の向上など、新たな観測装置の登 場によって引き起こされてきたことから、これまで 為し得なかった観測方法の実現が常に求められてい る。いわゆる「電波の窓」より波長の長い低周波電 波領域（ν<10MHz）は、電離層を通過できないため に地球上からの観測が不可能であることから、観測 天文学に残された最後の未開拓分野の一つとなって いる。この領域の電磁波は、太陽及び木星をはじめ とする太陽系内惑星の電磁現象から、パルサー、超 新星残骸、銀河間物質、さらにはhigh-z（高い赤方偏 移）の分子線として見られる宇宙の初期構造まで、 宇宙の様々なスケールでの現象を提示しているもの と考えられている。