自立軌道離脱型小型回収カプセルへの挑戦

摘要

HTV搭載小型回収カプセル（以降，小型回収カプセル，またはカプセル，という）は，2013年の基本設計を経て2014年から本格的な開発を開始した．以降，サブシステム製造，システム組み立てを経て，2018年4月にHTV7号機に搭載され，2018年9月に打上げられた．国際宇宙ステーション（ISS）からの実験試料を搭載した小型回収カプセルはISSでの任務を終えたHTV7号機に搭載され，2018年11月11日に大気圏に再突入し海上で無事回収された．これにより，我が国の再突入機として初めての揚力誘導制御による低軌道からの再突入飛行実証，及び世界最高レベルの軽量化を実現した国産アブレータの飛行実証は達成され，さらにISSで実験された冷蔵回収品を無事に研究者に届けることができた．このようにHTV搭載小型回収カプセルはHTVに搭載できるほど小型でありながらも，これまでの我が国の再突入機にはなかった新しい技術を搭載し，日本の有人帰還カプセルへの一歩を踏み出すための挑戦を完了した．本稿ではこの成果をもとにした，小型回収カプセルの更なる構想について現在検討中の概要を述べる．