フォーメーションフライト衛星用マイクロスラスターの開発動向と開発戦略

摘要

複数の宇宙機を惑星周回軌道やラグランジュ点に配置して各種観測を行う多観測点宇宙科学の実現のためには、複数の宇宙機間距離をミリメーター（mm）以下で保持する編隊飛行（formation flying、FF）技術が不可欠となる。FF による宇宙科学の対象は多様であり、例えば系外惑星等の干渉計観測のためには500m 距離の宇宙機を約1mm 距離で制御することが求められ、あるいは重力波干渉計の場合は宇宙機に作用する重力以外の外乱力をキャンセルするドラッグフリー制御が合わせて必要となる。宇宙機の姿勢と宇宙機間の相対制御、そしてドラッグフリー制御のためには優れた測距技術とアクチュエータが必要であり、過去あるいは既存のスラスタ技術レベルと近未来のミッションとを見据えた、したたかな開発が求められる。