アルミニウム合金AC4CH大型鋳物の疲労挙動に及ぼす鋳造欠陥の影響

摘要

近年，エネルギー問題などを背景に低コストで信頼性の高い設計が要求されており，軽量で高い比強度を持ちかつ低コストな鋳造アルミニウム（Al）合金の利用拡大が期待されている．鋳造材は引け巣やガス孔などの鋳造欠陥を内在しているが，これらの鋳造欠陥は材料の機械的特性に影響を及ぼす．微小欠陥と疲労強度との関係については，鉄鋼材料で介在物寸法の√areaから疲労限度σ_wを推定する村上らによる√areaパラメータモデルがよく知られており，鋳造欠陥を有するAl合金へのこのモデルの適用可能性についても検討されている．しかし，大型の同一鋳物中での欠陥分布や疲労強度の部位による相違や相関関係については詳細に研究されていない．本研究ではAl合金AC4CH大型鋳物の異なる部位から採取した材料を用いて疲労試験を行い，主に鋳造時の凝固時間の違いに起因する鋳造欠陥分布が疲労強度に及ぼす影響に注目し，√areaパラメータモデルに基づく疲労限度予測手法の妥当性について検討した．