(J45-1256)デジタルホログラフィック顕微鏡を用いたせh断型変態に伴う表面起伏のその場測定In-situ measurement of surface relief associated with displacive phase transformation in steel by digital holographic microscope

摘要

フェライトサイドプレート (FSP) やベイナイトの変態機構については、せh断型変態とする説と拡散型変態とする説が提唱されており、未だに統一的な考え方は得られていない。これらの組織の生成時には、研磨した試料表面には組織に沿った表面起伏が現れることが知られている。そして、その表面起伏の形状解析からも変態機構を推定する試みが数多く行われてきた。従来の形状解析では、形状測定装置として原子間力顕微鏡(1)や走査トンネル顕微鏡(2)が用いられてきた。しかし、走査型の顕微鏡では測定速度の限界から、変態終了後の静的な観察に限られてしまう。こうした観察では、多種の組織が空間的に競合して生成する低炭素鋼では、単一の組織による表面起伏変化を捉えるのは難しい。したがって、組織形成過程を正確に理解するには、個々のプレートの生成による表面起伏変化を直接的に捉えるその場観察が必要となる。そこで、本研究ではデジタルホログラフィック顕微鏡 (DHM) の表面起伏観察への応用を試みた。DHM は、干渉顕微鏡の一種で金属表面の三次元形状を非接触かつ高速で取得できる。本研究では、FSP、ベイナイトの変態生成に伴う表面起伏形成をDHM で観察し、その形状解析と結晶方位解析からこれらの組織の形成過程を詳細に比較検討した。