三次元CADを活用した球形状エンドミルによる傾斜面加工における切削性能評価―大きな傾斜角をもつ面の等高線加工の場合

摘要

金型等の工業製品において三次元輪郭形状を加工する際，工具としてボールエンドミルが広く用いられている．一般に，ボールエンドミルの外形は先端の半球部とそれにつながる円筒部から構成されており，大きな傾斜角をもつ面の加工では円筒部の切れ刃が干渉する．これは，先端部が球形をした球形状エンドミルを用いることで回避できるが，ボールエンドミルと同様に切れ刃形状が複雑なため切削機構は多くの点で不明であり，切削特性に応じた利用がなされているとはいえない．そこで，本報では三次元CADを用いる手法で，球形状エンドミルによる大きな傾斜角をもつ面の等高線加工における切削面積を精度よく求め，その結果を用いて切削トルクに相当する評価値を定義した．また，実験により切削力および仕上げ面粗さを測定した．得られた結果に基づいて切削特性を検討し，ボールエンドミルとの比較も行った．