ハンディキャップコオロギを用いたコオロギの攻撃行動発現機構のモデル化

摘要

本研究では，特徴的な喧嘩行動を示すクロコオロギを対象に行動学実験で得られた知見を基に，脳の構造と機能を説明できるモデルの構築を目指している．オスのクロコオロギは，同種のオスに遭遇すると威嚇し，喧嘩行動を始める．喧嘩行動は，相手のオスコオロギの体表物質を触角で受容することで誘発される，ひとつのフェロモン行動である．一般に，フェロモン行動は，刺激に対して定型的に特定の行動が誘発されると言われているが，近年，フェロモン行動は，経験や状況に応じて変容することが知られている．我々は，攻撃行動の発現が，異なるモダリティの刺激の有無に応じてどのように変容するのかについて行動学的な実験を行い，そのモデル化に挑む．