概念獲得へ向けた大規模長時間のマルチモーダル対話実験を可能とするクラウド型VRプラットフォームの構築

摘要

ヒトに近い適応的なコミュニケーション能力を有するロボットによる日常生活支援は将来的な様々な課題にむけたグランドチャレンジである．近年では原子力発電所の事故復旧作業に対応可能なロボット技術の要求などもあり，人間の日常生活から危険な極限状況での作業など，様々な場面でロボットの活躍が期待されている．しかしながら，現状のロボットの学術的·産業的最新技術を用いても，完全に自律型のロボットを作製することは不可能に近い．完全自律行動の実現が困難であるのは，事前に適切な行動プログラムを記述することが不可能であることと，人間のように柔軟に新しい環境·条件変動に対応する認識·判断の機能実現が困難であることが主要素として挙げられる．前者の問題については，人間とロボットがコミュニケーションを取りながら新しい知識を獲得する方向で解決し，後者の問題については，deep learningなどを始め，近年の計算機パワーの増大に伴う膨大な対話行動経験を利用した機械学習に期待が寄せられている．